まだ一話しか載っていない作品。ジャンルは ほっこり日常系(コメディ寄り)。
「感想はともかく、考察すること何ぞ無いだろう」と思われたでしょう。
もっと言うなら「(時々、自分語り)って何やねん」と思われたでしょう。
ただ個人的に、本作のヒロインである つみきさん の精神性というか生き方に
一人の人間として思うところがあったので、今回はそれについて語ろうと思います。
それでは早速、行ってみましょう!!
注釈
1.意見は全て私個人の感想に過ぎません。
2.本編のネタバレを思い切り含みます。予めご了承下さい。
3.ご意見・ご感想、お待ちしております!
本作は一話の中に何回か区切りがあり、その度に場面が転換し、新たなストーリーが展開される構成です。
1話は6回区切りがありました(巻頭カラー含まず)。六編構成ということですね。
各編のあらすじと感想を軽く語ります。
あらすじ
0・巻頭カラー
1・友孝くん(主人公)と つみきさん の出会い
2・しっぽ固定ベルト
3・遠吠え
4・つみきさん、ナルシスト吸血鬼(ヴァンパイア)を撃退
5・”気持ち”を見つける旅へ
6・友孝くん、つみきさんに靴下を贈る
感想
0・つみきさん に持ち上げられている友孝くんの図、何かシュールで面白いです(笑)
1・いきなり奇行に走る つみきさん。
ロッカーの扉を曲げている時の苦虫を噛み潰したような表情が、何とも言えず可愛いです。
友孝くんの身体を叩こうとした時に(スキンシップで)
友孝くんが一瞬ビクッとしたのを見て、既の所で手を止めた つみきさん。相手のことをよく観察しています。
そして友孝くんが誠意を見せて謝った直後の、つみきさんの表情ですよ。笑顔が素敵で可愛いです。
2・つみきさんの耳をフサフサ出来る同級生が、羨ましいです(真顔) マジで触り心地良さそうですよね。
足の大きさについて自慢げに話す つみきさん。「ね! ウケるっしょ~!」の表情が可愛いです。
自分の人とは違う部分を、コンプレックスではなく”笑い”として消化出来る人には惹かれます。私が。
しっぽ固定ベルト……森下先生(作者)の発想力に感服です。
今後この作品には様々なタイプの幻人(人外)が登場すると思いますが
その度に『しっぽ固定ベルト』のような個性的なアイテムが出てくるとしたら、期待しかありません(迫真)
同級生に「あざとい」と言われていた つみきさん ですが、やはり あざとい です。「引っぱる?」ですからね。
しかしこれ、明らかに善意100%で言っているんですよねー。コレが天然たらしってヤツですか…。
目をつけられてしまった友孝くん、ドンマイです(笑)
3・友孝くんがモノローグで「彼女(つみきさん)は自分の性質や体質をあまり気にしていない」と言っていますが
それは一概には言えない気がします。
実際、同級生から「やっぱ満月の夜は狼になっちゃうの?」と聞かれた際は
「ならないけど?」とやや冷たく答え、若干ですが少し嫌そうな表情をしているようにも見えます。
と思ったのですが、続けて同級生から「人間の肉食べるとかは? さすがにデマ?」と聞かれた際は
満面の笑みで「今は食べないよ! お肉は大好きだけど!」と誤解を招く発言をしているので、今一つ分かりません。
笑顔が可愛いというのは分かります。
同級生から微妙に誤解を受けて引かれ気味の つみきさん に、フォローに入った友孝くん。
それを横目に見て、少し笑みを浮かべる つみきさん。うーん……イイですねぇ!!
いきなり遠吠えしちゃう つみきさん、めちゃんこ可愛いです(迫真) 流石にズル過ぎますよ(真顔)
直後の恥じらい つみきさん も、めちゃんこ可愛いです(迫真) 破壊力が尋常じゃありません(真顔)
4・「へへ、今日金曜だからさ~ カツサンド食べるんだ~!」と つみきさん。笑顔が眩しくて可愛いです!!
カツサンドを買いに行こうとする つみきさん の前に、ナルシスト吸血鬼・千賀君が登場。
しつこく連絡先を聞く彼を前にして「いらない退いて。通行の邪魔」と怒った表情で一蹴する つみきさん。
いや~、表情の振れ幅が凄いですね。非常に良いです。
千賀君は今後、人生で恐らく初めてフラれたことによるショックで自信を喪失しつつも
自分を唯一フッた つみきさん に更なる興味を持ち、つみきさん と仲の良い友孝くんに接近して
色々と話をしていく内に、次第に心を開き素の部分を見せていって、友孝くんの親友となりますが
しかしいざ つみきさん を前にすると、滅茶苦茶に弱腰になってドンマイな感じになると予想します(早口)
5・うっかり穴掘りに夢中になってしまう つみきさん、可愛いらしいです。というか可愛いです。
自分の気持ちが分からなくて「どうすれば つみきさん みたいになれるかな」と相談する友孝くんに対して
「一緒に見つけてこーよ。友孝くんの気持ち!」と提案する つみきさん。
この つみきさん の本当の意味での”優しさ”に、非常に感銘を受けました。詳細は後で語ります。
教室バンジーの見開きページが、とても迫力があって好きです。
チマッと描かれている つみきさん と友孝くんも、可愛らしくて非常に良きです。
6・少し相談に乗ってもらっただけで、長文手紙&プレゼント(靴下)を送ってしまう
(幻)人との距離感が分かっていないコミュ症主人公・友孝くん。
普通ならドン引きなところを、驚きと歓喜が入り混じったキラキラの可愛い笑顔で感謝の意を述べ
あまつさえ自宅に招待する聖(幻)人・つみきさん。
そりゃあ、友孝くんも連行されますわな(笑)
総括・全体的にキャラの表情が豊かで可愛らしく、ストーリーも温かいので、読んでいて癒されます。
画もサッパリしていて読みやすいです。そして何と言っても、つみきさん がめちゃんこ可愛いです!!(迫真)
ここからは、1話で明らかになった情報を元に”つみきさん”という人物について、考察していきたいと思います。
…妄想というほうが正しいかもしれませんが(笑)
まず前提として、つみきさん は人狼(ウェアウルフ)です。人狼はパンピーとは違います。
聴覚に優れ、怪力で、耳はモフモフで、尻尾が生えており、他にも様々な特徴があります。
そんな特異な体質の つみきさん ですが、めちゃんこ素直で優しくて可愛い(幻)人です。
一見、自分が人狼であることについても、完全に受け入れているようにも思えます。
ただ私、つみきさん が自分の特異体質を完全に受け入れているとは、どうにも思えないんですよね。
その根拠とそう考えた理由を以下に説明します。
①・スキンシップで友孝くんの身体を叩こうとした時に、友孝くんが一瞬ピクッと怯えた反応を示した瞬間に
既の所で手を止めたこと。
②・獣人用のスカートがあるにも係わらず、パンピー用の普通のスカートを履くという”選択”をしていること。
③・他の質問にはノリ良く答えているのに「やっぱ満月の夜は狼になっちゃうの?」という質問に対してだけは
塩対応とも思える素っ気ない答え方をしていること。
④・私立景希高等学校という”幻人たちが最も多く通う学校”とされている場所を、進学先に選んでいること。
①は、つみきさん の観察力が高いことを示唆しています。
友孝くんは本当に一瞬軽くビクッとしただけですからね。
にも係わらず、その一瞬の反応に気付き手を止め「あ~ごめん。けどちゃんと力の調整できるからさ」ですよ。
これは明らかに、過去に何度も”スキンシップのつもりで身体を叩いたら怪我をさせてしまった”若しくは
“幻人だからという理由で接触を嫌がられた”という苦い経験を積み重ねてきたことの、証拠になります。
実際つみきさん も「そういう人はいるし」と言っていますからね。
(この場合の「そういう人」は、恐らく”幻人だからという理由で接触を嫌がる”人のこと)
そういった苦い経験の積み重ねから、相手の反応をよく観察する癖が付いたのだと思います。
そして物語開始時点でも友孝くんに気を遣っているということは
恐らく昔のそういう経験を、未だに気にしているということなのでしょう。
②は、ほぼほぼ妄想に近いです。
しっぽ固定ベルトの件で、獣人用のスカートが制服にあるのにパンピー用のスカートを履いている理由として
つみきさんは「けど私はこっちのが好き!」と言っています。
“そのほうが可愛いから”等という具体的な理由ではなく、単純に”好き”という抽象的な理由なんですよ。
人は無意識的に自分の無いモノを欲する生き物です。
つみきさん にとっては、所謂”普通”というのも無いモノの一つだと思います。
つみきさん がパンピー用のスカートを”好き”と思ったのは
無意識の内に”普通”を求めているからなのではないでしょうか。
個人的には、③が一番気になります。ここだけ明らかに つみきさん の態度に違和感があります。
まだ情報が少ないなので何とも言えませんが、この違和感自体が”理由”になります。
④に関しても、②と同じで ほぼほぼ妄想です。
つみきさん達の通う私立景希高等学校は”幻人たちが最も多く通う学校”とされています(1話冒頭を参照)。
この学校は、幻人達にとっても居心地が良いはずです。
社会的な憂き目に遭うことが ほぼ無いでしょうからね、幻人だらけなので。
パンピーの生徒に関しても、幻人に対して抵抗のある人は流石にいないでしょうし(笑)
故に、そういった幻人達にとって居心地の良い学校を進学先に選んだ つみきさん も
所謂”普通の社会”で生きることが疲れて、この学校に来たのかとも考えました。
結論・つみきさん は、自分が人狼であることに対して”割り切れて”おり、ほぼ受け入れてはいますが
それでも無意識下では、特異体質を受け入れられていない部分があると考えます。
でもそれは、当然のことだと思います。パンピーと違うということは、それだけで人生ハードなモンです。
人と違うことを「仕方ない」と”割り切る”ことは出来ても
それを完全に100%”受け入れる”ことは、どんな人であっても難しいと思います。
ここまでが”つみきさん”という人物の考察になります。
という つみきさん の人物像を踏まえた上で、少し話を戻します。
先程保留した、つみきさん の”優しさ”についてです。つみきさん が、友孝くんの相談に乗っている場面ですね。
「つみきさん は自分の性質を受け入れて過ごしている感じがして、すごいよなぁって…」と言った友孝くんに
つみきさん は言いました。
「それは私が幻人だからじゃない?」「性質とかは合わせられないことが多いし」
「なら仕方ないかって自分も相手も割り切ってもらいやすいけど
人間は合わせることが できちゃうから、割り切ってもらいにくいってことじゃん?」
「人間って大変だぁ~」
この発想というか相手の立場に立った考え方が出来る時点で、つみきさん は本当に優しいんですよ。
「なら仕方ないかって”自分も”相手も割り切ってもらいやすいけど」と、つみきさん は言いました。
この”自分も”の部分が、どれだけ難しいでしょうか。
“自分じゃどうしようも出来ない”ということが、どれだけ不便で辛いことでしょうか。
先程の考察で述べた通り、つみきさん は決して平坦で順風満帆な人生を送って来た訳ではないと思いますし
自分の体質に関してだって、受け入れられていない部分があるでしょう。
現状に不満を言おうと思ったら、いくらだって言えると思います。
「人間が羨ましい」と言ったって良いんですよ。
それなのに つみきさん は、友孝くんの立場に寄り添って考えた発言をして
「人間って大変だぁ~」と言い、あまつさえ「一緒に見つけてこーよ。友孝くんの気持ち!」ですからね。
こんな発言、よほど人格が完成されているかアホの子じゃないと出来ません。
本当に強くて優しい人ですよ、つみきさん は。とても感銘を受けました(迫真)
最後に少し、自分語りをさせて下さい。
私は、生まれながらにして重度の先天性疾患を持っていました。3才までに開胸手術を4回しました。
(これらの手術は あくまで延命治療であり、病気とは一生付き合っていかなければなりません)
2才の時に脳梗塞を患い、左半身不全麻痺(自分の意志で自在に動かせない、歩くことは出来る)になりました。
そんな感じだったので、小学校から高校までの12年間を特別支援学校で過ごしてきました。
更に高校生の時に右目の網膜剝離を患い、バックリング手術とかいう地獄も味わいました。
決して平凡な人生ではありませんが、それでも自分の生まれ持った身体に不満を抱いたことは、殆ど無いです。
幸い私はアホの子であったので、嫌な事があっても すぐ忘れるし、小難しいことは考えない質でした。
そのおかげか中学生になる頃には、自分の身体について完全に”割り切る”ことが出来ていたのです。
そして次第に「人に優しく在りたい、そういう人間に成りたい」と思うようになりました。
“普通の人”とは違う苦労や経験を積み重ねてきたからこそ、見える世界がありますし
“普通の人”とは違う苦労や経験を積み重ねてきたからこそ、感受性は豊かなほうだと思うので
人の痛みや苦しみに寄り添うことが出来ると思ったからです。
その思いは勿論今でも持っていて、生きる上での一つの目標でもあります。
まだまだ至らないところは沢山ありますけどね。
つみきさん のように”人とは違う”境遇でも、なお相手の立場に寄り添った発言が出来る
“本当の優しさ”を持つ人というのは、正に私の目指す理想の人物像そのものでした。
だから何と言ったら良いのか分かりませんが……凄く、嬉しかったです。
「私と似ている」と言ったら語弊がありますが、境遇と その生き方に心の底から共感出来る(幻)人に出会えて。
久々に素晴らしい作品に出会えたような気がします。
つみきさん と友孝くんが紡ぐ「奇日常」に、これからも期待しております!!(迫真)